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1.研究のねらい |
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当社は,太陽光発電システム(PVシステム)など再生可能エネルギーの普及を支援する立場から様々な取り組みを推進しています。その活動の一環として,環境NGOや学識経験者と協働プロジェクトを立ち上げ,PVシステムの電源として価値を客観的に評価する研究を実施しました。 |
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2.kW価値とその効果は? |
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発電システムの電源価値を評価する手法としてkW価値があります。kW価値とは、最大需要電力が発生した時の発電出力比率を示したもので,kW価値の最高値は100%,最低値は0%です。kW価値を求める方法を具体例で説明します。ご自宅の屋根にシステム容量4kWのPVシステムがあると仮定します。8月某日の午後2時に最大需要電力が発生し,電力会社の発電所はピーク出力運転を行っています。その時,PVシステムの発電出力が4kWあればkW価値は100%、2kWなら50%になり,PVシステム容量にkW価値を乗じた分だけ電力会社の発電所のピーク出力を抑制することが可能となります。PVシステムが大量普及すれば,電力会社の発電所を設備更新する時にピーク出力を抑えた分だけ建設コストを削減する効果が期待できます。 |
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3.K90とは? |
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夏期1日の最大需要電力に対しPVシステム1台のkW価値を導くことは簡単ですが,PVシステムが複数設置された場合や複数年に渡るkW価値を客観的に評価することは容易ではありません。そのため,様々な研究が行われてきましたが,当社はK90と呼ばれる手法を提案します。K90は従来手法の課題を改善したもので,各年分に相当する8760時間から最大需要電力が発生する100時間を抽出し,その90%を保証するPVシステムの発電出力比率をkW価値と定義します(図1)。 |
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4.取組内容 |
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環境NGOの協力を得て,当社サービス区域内の142箇所にPVシステムを設置し(図2),発電出力データを計測しました。計測期間が少ない場合の対策として,PVシステムの発電量推定手法を確立しました(図3)。以上の検討から,kW価値が17.5%であることが分かりました(図4)。今後,PVシステムを普及支援する立場から,太陽光発電の研究を進めていく予定です。 |